ワクチン開発部門

ハンダビレ チムカ
Chimuka Handabile
北海道大学 創成研究機構ワクチン研究開発拠点 博士研究員

研究テーマ

  • ノイラミニダーゼの量と安定性を高めたインフルエンザワクチンの開発

キーワード

  • インフルエンザ
  • ノイラミニダーゼ
  • 不活化完全粒子ウイルスワクチン
  • 交差反応性抗体

研究概要

  • ヘマグルチニン(HA)はインフルエンザワクチン開発における主要な標的であるが、抗原性の変化のために毎年のようにワクチン株を変えていく必要がある。一方、もう一つのエンベロープタンパク質であるノイラミニダーゼ(NA)はインフルエンザ株間で保存されており、抗原性が変化するインフルエンザウイルスに対する魅力的な標的となる。しかし、現在のワクチン調製法はHAタンパク質に重点を置いているため、ワクチン調製中のノイラミニダーゼの質と量についてはほとんど知られていない。ノイラミニダーゼに対する免疫は、異なる株に対する交差性を示し、インフルエンザの重症化を軽減する上で極めて重要であることがよく知られている。そのため、HAとNAの両方の抗原を含むワクチン製剤は、より包括的で効果的な免疫を誘導できる可能性がある。本研究では、細胞培養条件や精製などのワクチン調製法を検討し、NAの量と安定性を改善する方法を確立する。
  • NA が同一のNA亜型に対して交差免疫を誘導できることは、パンデミックワクチンの開発置いて重要な意味を持つ。 過去数十年にわたり、高病原性鳥インフルエンザウイルス(HPAIV)の脅威が増大している。ほとんどの人間は一般に高病原性鳥インフルエンザウイルス に感作されていないため、これらのウイルスが蔓延することにより引き起こされるパンデミックは危機的なものとなる可能性がある。 季節性インフルエンザウイルスに対するワクチン接種によってパンデミックインフルエンザウイルスに対する交差免疫がある程度誘導できるなら、季節性インフルエンザワクチンがパンデミックワクチンが利用可能になる前の予防ワクチンとして利用できる可能性がある。 本研究では、高病原性鳥インフルエンザウイルスによるパンデミックの脅威を軽減するために、交差反応性抗体を誘導できるNAを含む不活化ウイルス完全粒子ワクチンの開発を目指す。