研究内容

Research

研究内容の概要

結核以外の呼吸器感染症のワクチンや治療法の開発に繋がる基礎研究

世界人口の約1/4が結核菌に感染し、年間130万人以上の人が、結核が原因で亡くなっています。その結核に対するワクチンとして唯一認可されているのがBCGワクチンです。小児の結核には有効であり、100年以上に亘ってその予防に貢献してきました。しかしながら、BCGワクチンの成人肺結核に対する防御効果は限定的です。世界中で成人に対する結核ワクチンの開発が進められていますが、未だに新たなワクチンは実用化されていません。当研究室の主テーマは、成人結核の制御を目的とした新たなワクチンの開発です。そのためには、結核菌の感染局所である肺の粘膜免疫、とりわけ感染防御に働く細胞性免疫応答の詳細な解析が必須です。

そのデータを基に、どのような抗原やアジュバントを用いれば有効なワクチン開発が叶うのかを追究しています。当然ワクチンの有効性を実証することが求められますが、ヒトのワクチンとして実用化するためには、マウスのような小動物のみならず霊長類を用いて免疫応答や感染防御能を解析することが必須であり、その研究には高度な知識、技術、経験が必要となります。それらの研究で得られた知見や技術は、結核とよく似た症状を呈する肺非結核性抗酸菌症やインフルエンザウイルス、新型コロナウイルスなどの呼吸器ウイルス感染症のワクチン開発へも応用が可能です。

当研究室では、結核以外の呼吸器感染症のワクチンや治療法の開発に繋がる基礎研究も行っています。ウイルス感染症の場合、中和抗体とともに感染細胞の排除に働く細胞傷害性T細胞(CTL)が生体防御に重要な役割を果たしていますので、そのワクチン開発においては、炎症による副反応を極力抑えつつ生体防御に有効なCTLを誘導することが重要です。CTLの活性化と記憶形成に関わる制御因子を解明し、ワクチン効果の増強や副反応の低減を可能とする低分子薬の研究も行っています。我々の研究室が目指すのは、細胞性免疫の基礎・応用研究の成果を橋渡し研究に発展させ、最終的に新たなワクチンの社会実装を実現することです。